みなさまにご贔屓にしていただき、おかげさまで40年。

毎日の食卓に、ご贈答に、日頃のご愛顧に心より感謝申し上げます。

わかめの新芽時期、いわゆる旬と呼ばれる3月頃、山口県萩市沿岸では採れたてのわかめを洗い、竹竿につるす風景がいたるところで見られました。潮風が磯の香りをはこび、春の到来を知らせる風物詩でもあります。
わかめは適度に乾燥されたのち、保存食として重用されます。細かく刻むほど食感が良く喜ばれます。

刻んだわかめを湯気の立つごはんにのせると再び芳しい磯の香りが食欲をそそり、思わずおかわりをおねだりするほど。きざみわかめをたっぷりとまぶしたおにぎりは、ごはんの蒸気を吸って、しっとり加減がちょうどよいわかめむすびのお弁当に。 ご年配の方々には懐かしい味として思い出されるのではないでしょうか。
毎日の食卓に、ご贈答に、日頃のご愛顧に心より感謝申し上げます。

そんな時代を過ごした先代井上伊三郎は、こんなに美味いものは皆に食べてもらいたいと、きざみわかめの商品化を志したのです。
もっとお手軽に食べていただくには？いつでも美味しく食べていただくには？試行錯誤を重ねること5年あまり。ついに自信が持てる試作品が出来ました。
早速その試作品を工場に持ち込み製品化を試みましたが、工場長らの反応はいまいち。世にあるふりかけはどれもかりかりの乾燥したものばかりで水分を含んだわかめふりかけなんて常識外だったのです。
しかし結局は井上の熱意におされ、数種類の試作品中から見事に従業員らの心（舌）をつかむ商品が現れました。

北浦地方のきざみわかめをルーツにもつ、おそらく日本初の『ソフトふりかけ』の誕生です。

世に”いい日旅立ち”のメロディーがあふれ、山口県にも多くの観光客が訪れる時代の最中でした。

なんだか黒っぽくて見た目も地味、市販のふりかけ商品に比べると値段がやや高い。最初はなかなか苦労しましたが、地元山口県の方々の口コミの効果は大きく、少しずつ出荷数が伸びてまいりました。また各地から届く「美味しかった！」の声、観光で萩を訪れた方々からのお電話やお手紙にも大いに勇気づけられました。

今でこそ全国の多くのお店でお取り扱いをいただけるようになりましたが、やはり地元のみなさまに広めていただいたおかげと今もって感謝の気持ちでいっぱいでございます。

今回発売から40年を顧みて、当初の味に思いをはせ、当時の味を再現できないかとこのプロジェクトを企画いたしました。とはいえレシピがあるわけでもなく、当時を知る人をたずね歩き、「こんな感じですか？」「こうでしたか？」と試作に試作を重ねて出来上がったのが「復刻版しそわかめ１９８０」です。

当時はわかめを刻む技術や設備も乏しく、比較的カットも大きめであったことや、しっかりと肉厚のわかめであったことなどから、その食感を再現するにふさわしい三陸産のわかめを使用しております。味付けも国内産赤しそを使用するなど、より自然な味にこだわって商品化いたしました。